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ハーモニー

コード進行とは:曲が動いていく仕組み

コード進行とは、コードが並ぶ順序と、それぞれが鳴っている長さのことです。曲が「どこかへ向かっている」と感じられるのはこの順序のはたらきで、世に出ている音楽の多くは、ほんの数種類の並びの上に立っています。はじめて聴く曲がなぜか懐かしいのも、そのためです。

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カノン進行

I–V–vi–iii–IV–I–IV–V。パッヘルベルのカノンに由来し、J-POPで最もよく使われる並びのひとつです。

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王道進行

IV–V–iii–vi。切なさと高揚が同居する響きで、アニメ主題歌やバラードに数多く使われています。

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小室進行

vi–IV–V–I。小室哲哉が多用したことから名がつき、九〇年代以降のダンス系ポップの土台になりました。

コード進行とは何か

コードは複数の音を同時に鳴らしたもので、進行はその並ぶ順序と、一つひとつが鳴っている長さのことです。動きの感じを運んでいるのはこの順序で、同じ三つのコードでも順番を変えれば別の曲になり、同じ並びの上に違うメロディを乗せても、土台は同じものとして聞こえます。

進行はコード名ではなくローマ数字で書きます。数字が示すのは音の高さではなく調のなかでの位置だからです。I–IV–V はハ長調なら C–F–G、ト長調なら G–C–D。関係は同じで、位置だけが移ります。一度書いた表が十二の調すべてで使えるのはこのためで、演奏者が「ツーファイブワン」と呼ぶのも同じ理由です。

名前のついた進行:カノン・王道・小室

日本では主要な並びに固有の名前がついていて、名前で呼べば話が通じます。カノン進行は I–V–vi–iii–IV–I–IV–V で、パッヘルベルのカノンに由来します。王道進行は IV–V–iii–vi、切なさと高揚が同時に立ちのぼる響きで、アニメ主題歌やバラードの定番です。小室進行は vi–IV–V–I、小室哲哉が多用したことからこの名で呼ばれます。

この三つに、丸サ進行(IV–III–vi、椎名林檎「丸の内サディスティック」から)と、四つのコードを繰り返す I–V–vi–IV を加えれば、日本のポップスの大半は説明がつきます。逆にいえば、耳になじんだ曲を弾いてみて「知っている響きだ」と感じたら、たいていはこのどれかです。

コードは調から生まれる

どの調にも、その調が備えているコードの組があります。音階の各音の上に三度を積めば、長調ならI・IV・Vが長三和音、ii・iii・viが短三和音、viiが減三和音になります。この七つが「その調で落ち着いて響く」コードで、それ以外は借りてきた音です。借りた瞬間だけ耳が立つのは、そのためです。

数字で書いた進行が調をまたいで通用するのも、譜面に「ハ長調で」とだけ書けば足りるのも、この仕組みによります。いま自分がいる調の七つのコードが頭に入れば、進行は暗記するものではなく、小さな組のなかから選ぶものになります。自分で書けるようになるのは、その地点からです。

切なく響く進行、明るく響く進行

気分を決めているのはコードそのものより、進行がどこから始まってどこへ着地するかです。同じ四つのコードでも、I–V–vi–IV と始めるか vi–IV–I–V と始めるかで、明るくも切なくもなります。音は一つも変えていないのに印象が変わるのは、始まりの和音が全体を染めるからです。

効き目のはっきりした動きもいくつかあります。長調のなかで四度を短くする(同主短調からの借用)のは、最後のサビの下で胸が締めつけられる定番の手です。和音を保ったままベースが下がっていけば沈んでいく感じが出ますし、主和音に一度も帰らない進行は、曲を最後まで落ち着かせません。

自分の曲に使うには

四つのコードの繰り返しから始めて、変えるのは一度に一つだけにします。順序を入れ替える、切り替わる位置をずらす、ベースの音だけ変える。記憶に残る進行の多くは発明ではなく、よく知られた並びのわずかな変形です。定番のループの最後の一つを差し替えるだけで、新しく聞こえる曲になることは珍しくありません。

紙の上で考えるより、鳴らして選ぶほうが早く進みます。すでにあるメロディの下に進行を置けば、合わないコードはその場で分かりますし、進行の上でメロディを口ずさめば、着地点へ向かってフレーズのほうが決まっていきます。どちらの向きでも構いません。

よくある質問

コード進行とは何ですか。

コードが並ぶ順序と、それぞれが鳴っている長さのことです。ローマ数字で書くのは、数字が調のなかでの位置を表すためで、同じ進行が十二の調すべてで使えます。

カノン進行とはどんな並びですか。

I–V–vi–iii–IV–I–IV–V です。パッヘルベルのカノンに由来し、日本のポップスで最も多く使われる進行のひとつで、対応する曲も数多くあります。

王道進行と小室進行の違いは何ですか。

王道進行は IV–V–iii–vi で、切なさと高揚が同居します。小室進行は vi–IV–V–I で、短調の和音から始まり主和音へ帰るため、推進力のある響きになります。

よく使われるコード進行を一覧で知りたいのですが。

カノン進行、王道進行、小室進行、丸サ進行、四つのコードの I–V–vi–IV、そしてブルースの十二小節。この六つで大半の曲は説明がつきます。

コード進行はどうやって作ればよいですか。

定番の四つのループから始め、順序・切り替わる位置・ベース音のどれか一つだけを変えます。そのうえでメロディの下に置いて鳴らすと、合わないコードはすぐ分かります。

決める前に、鳴らして確かめる

スタジオを開いて進行を置けば、ベースとメロディを重ねてそのまま鳴らせます。耳で選べば数分、紙の上で選べば一晩かかります。