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音楽理論

転調とは — やり方、早見表、転調が気持ちいい曲

転調とは、曲の途中で調(キー)を変えることです。それまで中心だった音が別の音に移り、主役が入れ替わります。サビで一段明るくなる感じ、ラスサビで景色が開く感じ — あれはほとんどが転調です。やり方はいくつかあり、難しさもそれぞれ違いますが、共通しているのは「どこへ行くか」より「どうやって入るか」で印象が決まる点です。

This page is part of the guide to music theory.

転調とは何か

調とは、中心になる音とその音から作られる七つの和音のまとまりのことです。ハ長調ならドが中心で、C・Dm・Em・F・G・Am・Bm♭5 が使えます。転調はこの中心を移すことで、移した先では別の七つが使えるようになります。

似ているけれど違うものが二つあります。ひとつは移調で、こちらは曲全体をまるごと上下させるだけ。歌いやすい高さに直す作業であって、曲の中で何かが起きるわけではありません。もうひとつは借用和音で、調の外の和音を一つ二つ借りてくるだけ。中心は動いていないので転調ではありません。

見分け方は簡単です。調の外の音が出たあと、元の中心に戻る感覚が残っているか。残っていれば借用、消えて新しい中心ができていれば転調です。

転調のやり方 — 四つの入り方

共通和音を使う。両方の調に含まれる和音を橋にします。ハ長調とト長調なら C・Em・G・Am が共通なので、そのどれかを鳴らしてから新しい調のドミナントへ進むと、継ぎ目が聞こえません。いちばん自然で、いちばん気づかれにくい方法です。

ドミナントで引っぱる。行きたい調の V7 を鳴らして解決させます。ニ長調へ行くなら A7 を出して D へ。共通和音を探さなくていいぶん手早く、ポップスで最も多く使われます。

半音上げる。ラスサビでキーを半音か全音だけ上げるやり方で、J-POPの定番です。準備も橋もなく、その瞬間に上がる。安易だと言われることもありますが、効果が確実なのは事実で、使いどころを選べば今でも強い手です。

何もせずに切り替える。休符を一つ挟んで、いきなり新しい調から始めます。段落が変わったことを聴き手にはっきり伝えたいときに向きます。

どの調へ行きやすいか — 近さの早見表

行きやすさは調号の違いの数で決まります。違いが一つ以内の調が近い調で、橋になる共通和音が多く、耳も驚きません。

ハ長調(♯♭なし)から近いのは、ト長調(♯一つ)、ヘ長調(♭一つ)、そして平行調のイ短調。加えて、ニ短調・ホ短調も同じ七音を共有しているので近い調に入ります。ト長調からならニ長調とハ長調、ニ長調からならイ長調とト長調 — 五度ずつ動くのが最短距離です。

遠い調へ行きたいときは、近い調を経由するか、逆に準備をまったくせず一気に飛びます。中途半端に橋を架けると、遠さだけが目立って迷子になった印象になります。距離があるなら、隠すか見せるかのどちらかに決めるほうがうまくいきます。

ピアノとギターでの実際

ピアノでは調号が変わると指づかいが変わります。黒鍵の数が増える調へ行くなら、手が形を覚えるまで転調の前後だけを繰り返すのが早道です。左手のベースが新しい主音に着地することを最優先にすると、右手は後からついてきます。

ギターでは、転調はフォームの移動として現れます。カポを使えば形を変えずに調だけ動かせますが、曲の途中でカポは付け替えられません。途中で転調する曲は、最初からバレーコードで組んでおくか、開放弦が使える二つの調の組み合わせを選ぶかのどちらかです。

実用的な組み合わせとして覚えておくとよいのが、ハ長調からニ長調(全音上げ)とト長調からイ長調です。どちらもローコードの形がそのまま二フレット上に平行移動するだけで済みます。

転調が気持ちいいのはなぜか

気持ちよさの正体は、期待の更新です。人の耳は数小節で中心の音を割り出し、次に来る和音をおおまかに予想します。転調はその予想を外し、しかも外した先にまた秩序を用意する。混乱ではなく「別の場所に着いた」と感じられるのは、着いた先がちゃんと調になっているからです。

だから、うまくいかない転調はほぼ二種類に絞られます。ひとつは着地が弱いもの — 新しい主音がベースに来ないまま進んでしまい、どこに来たのか分からない。もうひとつは元の調が短すぎるもので、最初の中心が耳に入る前に動いてしまえば、外すべき期待がそもそもありません。

確かめ方はひとつです。転調の前で止めて、元の主音を歌ってみる。すぐ出るなら期待はできていて、転調は効きます。出てこないなら、動くのはまだ早いということです。

Where to go next

Most modulations go to a relative or parallel key, because those share the most notes. The moment of arrival is a cadence in the new key — and moving an entire piece rather than passing through is transposition.

よくある質問

転調とは何ですか

曲の途中で調を変えることです。中心になる音が別の音に移り、使える和音のまとまりも入れ替わります。サビで景色が開くように聞こえる箇所は、多くが転調です。

転調と移調はどう違いますか

移調は曲全体をまるごと上下させることで、歌いやすい高さに直す作業です。曲の中で何かが起きるわけではありません。転調は曲の途中で中心が移ることで、聴いて分かる出来事になります。

転調のやり方にはどんな種類がありますか

主に四つです。両方の調に共通する和音を橋にする、行き先の V7 で引っぱる、半音や全音だけ上げる、休符を挟んでいきなり切り替える。自然さでは共通和音、手早さではドミナントが優れます。

どの調へ転調しやすいですか

調号の違いが一つ以内の調です。ハ長調ならト長調、ヘ長調、イ短調。共通する和音が多いので橋を架けやすく、耳も驚きません。五度ずつ動くのが最短距離になります。

ギターで途中から転調するときのコツは

カポは途中で付け替えられないので、最初からバレーコードで組むか、開放弦が使える二つの調を組み合わせます。ハ長調→ニ長調、ト長調→イ長調は、ローコードの形が二フレット平行移動するだけで済みます。

転調が気持ちよく聞こえるのはなぜですか

耳が作った予想を外し、外した先にまた秩序があるからです。失敗する転調は、新しい主音がベースに来ず着地が弱いか、元の調が短すぎて外すべき予想ができていないかのどちらかです。

転調の前後を、続けて鳴らす

スタジオで元の調の四小節を書き、続けて新しい調へ移ってみてください。橋になる和音を入れた版と、入れない版を並べて聴くと、どちらが自然かは一度で分かります。