楽譜を読む
音名と階名:ハニホとドレミとCDEはどう違うか
同じ高さの音に、日本語では二通りの呼び名があります。ハ・ニ・ホのような音名は音の高さそのものを指し、ドレミのような階名は調の中での役割を指します。さらに和音記号ではCDEというラテン文字が使われ、三つの体系が同じ紙の上で出会います。
このページは楽譜の読み方ガイドの一部です。
三つの呼び名が同じ音を指す
音名はイ・ロ・ハ・ニ・ホ・ヘ・トで、ハが西洋音名のC、ニがD、ホがE、ヘがF、トがG、イがA、ロがBにあたります。オーケストラが合わせる基準音がイ(A)であることも、順番がイから始まる理由と関係しています。
階名はド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ。そしてコードネームではC・D・E…とラテン文字が並びます。三つは競合しているのではなく、それぞれ別の仕事をしています。
音名は高さ、階名は役割
音名は絶対的です。ハはどんな調でもハ、つまり同じ鍵盤の音を指します。ハ長調、ニ短調という調名がこの体系で書かれるのはそのためです。
階名は相対的です。ドはその調の第一音で、ト長調ではソの音がドになります。移動ドと呼ばれるこの使い方は、移調して歌うときに強い力を発揮します——音の役割が変わらないからです。
⚠️ ここで混乱が起きます。学校で「ドレミ」を固定の高さとして習った人と、階名として習った人が同じ言葉で別のことを指してしまうのです。相手がどちらの意味で言っているかを確かめるだけで、話が通じるようになります。
調名に現れる音名
ハ長調、ト長調、ニ短調——調の名前は音名で作られます。ハ長調はC major、ト長調はG major、ニ短調はD minorです。輸入楽譜や配信の曲名で英語表記に出会ったとき、この対応を知っていれば読み替えは一瞬で済みます。
変ロ長調のような「変」「嬰」も同じ体系です。変はフラット、嬰はシャープを表し、変ロ長調はB♭ major、嬰ヘ短調はF♯ minorになります。
ラテン文字とコードネーム
ポピュラー音楽のコードネームは英語圏の文字体系です。CはハからのメジャーコードでAmはイからのマイナーコード、という対応をつかんでおけば、日本語の音名しか知らなくても譜面は読めます。
⚠️ ドイツ語の楽譜では注意が必要です。そこではBがロ(英語のB)ではなく変ロを意味し、ロにはHという文字を使います。バッハの名前が B-A-C-H という旋律になるのはこの体系だからです。
ドレミはどこから来たか
十一世紀のグイード・ダレッツォが、各行が一音ずつ高く始まる聖歌を使い、行頭の音節で音に名前をつけました。ut・re・mi・fa・sol・la——のちにutがdoに変わり、第七音のsiが加わって現在の形になります。
つまりドレミはラテン語の断片で、もともと歌うための道具でした。声にとって文字より歌いやすいのは、そのためです。
どれを覚えればよいか
実用の順番はひとつです。まず階名のドレミで歌えるようにし、次に音名ハニホで調名を読み、最後にコードネームのCDEを覚える。三つ目まで来ると、日本語の教材と輸入楽譜と配信のコード譜が同じものとして見えてきます。
対応表は一行で足ります。ハ=C=ド、ニ=D=レ、ホ=E=ミ、ヘ=F=ファ、ト=G=ソ、イ=A=ラ、ロ=B=シ。ただし階名のドは調によって動きます。
よくある質問
音名と階名の違いは何ですか
音名は音の高さそのものを指す絶対的な呼び名で、ハ・ニ・ホなどがこれにあたります。階名は調の中での役割を指す相対的な呼び名で、ドはその調の第一音です。ト長調では階名のドはソの高さになります。
ハニホヘトイロはCDEとどう対応しますか
ハがC、ニがD、ホがE、ヘがF、トがG、イがA、ロがBです。調名も同じ対応で、ハ長調はC major、ニ短調はD minorになります。
ドは必ずCですか
固定ドではそうですが、移動ドでは違います。移動ドのドは調の第一音を指すため、ト長調ではソ(G)の高さがドになります。学校教育や合唱の現場では移動ドが使われることも多く、相手がどちらで話しているか確認すると混乱が減ります。
ドイツの楽譜でBとHが出てくるのはなぜですか
ドイツ語圏ではロの音をHと書き、Bは変ロを意味するからです。中世の記譜で低い形を丸いb、高い形を角ばったbで書き分け、後者がhと読まれるようになった名残です。
変ロ長調は英語で何と書きますか
B♭ major です。「変」はフラット、「嬰」はシャープにあたるので、嬰ヘ短調は F♯ minor になります。輸入楽譜の表紙や配信の曲名はこの表記です。
どの体系から覚えるとよいですか
歌う場面が多いなら階名のドレミから、楽譜の調名を読むなら音名ハニホから、バンドや弾き語りならコードネームのCDEからです。最終的には三つとも同じ音を指すので、対応表を一度覚えれば行き来できます。